習字に欠かせない墨もまた、奈良の名産品のひとつです。習字をやる人はもちろん、飾って楽しむ工芸品の墨がおみやげになるほか、墨作り体験や見学もできて、今はやりの「体験ツーリズム」も楽しめます。
全国シェアNo.1! 習字用だけじゃない
墨といえば、だれもが思い浮かべるのが「習字」。書き初めや、学校での習字の授業を思い出す人も多いんじゃないでしょうか。一度はお世話になるこの墨、全国シェアのなんと80%~90%を奈良産が占めているとか。習字を習っていたり、続けているような人には、実用性も兼ねたおみやげになるし、ふだんやらない人も、「今度の正月はこの墨で書き初めに挑戦!」なんていうのもいいですね。
習字に使うだけが墨じゃありません。飾って・眺めて楽しむ用の、「芸術品としての墨」もあります。金色のもの、シカの絵などがレリーフ状になっているもの、竹のような形をしたものなどなど。墨は彫刻の素材にもなるんですね。これなら、習字に興味がない人にも、「シブいおみやげ」としてよさそうです。
老舗めぐりと「にぎり墨体験」
墨は奈良にとって歴史ある名産品だけあって、老舗が何軒もあります。特に、近鉄奈良駅から小西さくら通りを南に行ったところにある古梅園は、創業400年という老舗中の老舗。奈良の墨作りがお寺から民間の手に移った時代から続く店で、「奈良墨」の名を広めた立役者のひとつです。シブい店構えも看板も、いかにも老舗、という感じ
既製品を買うだけじゃつまらない!という人には、「にぎり墨体験」がおすすめ。実際に墨を作っている現場で、できたてでまだ柔らかい状態の墨をにぎって、自分の手形をつける、というものです。世界でひとつだけの、どこでも買えないおみやげを手にできます。墨の製造現場の見学をさせてもらえるところもあります。最近はやりの「体験ツーリズム」として、また違った旅の思い出を作れますね。
奈良墨の歴史
墨そのものの歴史は、飛鳥時代とか平安時代にさかのぼると言われています。奈良墨の歴史としては、室町時代のころ、興福寺の二諦坊(にたいぼう)で作られたのが始まりとか。二諦坊の持仏堂で、灯明のススが天井に付いたのを集めて作ったとのことです。その後、安土桃山時代になると、作り手がお寺から一般のお店に移って、古梅園もそのころ創業しました。
仏教都市・奈良らしい名産品、奈良墨。自分が使う用・飾る用のおみやげ、体験・見学、老舗めぐりなど、墨を中心にいろいろな楽しみ方ができるのも魅力です。