奈良では「早起きが名物」と言われています。ずいぶんおもしろい名物もあったものですが、由来を見ていくと、奈良の歴史と、やっぱりシカが出てきて、土地柄を実感できます。
「奈良の早起き」と有名なコトバ
「大仏に 鹿の巻き筆 あられ酒 春日灯篭 町の早起き」
奈良の名物を並べたコトバです。だれもが納得できる名物と並んで、「早起き」が入っています。さらに、なんと「早起きは三文の徳」という有名なことわざも奈良発祥だとか。今奈良に住んでいる人が早起きかどうか分かりませんが、これだけ言われているということは、歴史的には確かなんでしょう。
由来はやっぱりシカ?
「早起きが奈良名物」という話は、同じく奈良名物のシカから来ているようです。神様の使いであるシカは、昔は今より厳重に保護されていて、殺したら死刑になったとか。奈良の人は朝起きたら、まず家の前を見てシカが死んでいないか調べたそうです。もしシカが死んでいたら、まだ起きていないとなりの家の前へ移動。起きて気付いたとなりの人は、まだ起きていないさらにとなりの家へ・・・・・・。
最後の話は落語「鹿政談」のネタなので、さすがに作り話かもしれませんけど、奈良の人が昔から早起きだったのと、それがシカと関係あるのは信じてよさそうですね。はるか昔からシカと関わり続けてきた、奈良の歴史がかいま見られるエピソードです。
夜も早い奈良
夜、奈良の町を歩いていると、あることに気がつくでしょう。店が閉まるのが早いんです。これも「早起き」な気質と関係あるんじゃないでしょうか。奈良に着くのが遅くなったりして、遅い時間にご飯を食べようと店を探すと、焦るかもしれません。でも、店が早く閉まるということは、早く静かになるということで、静かな古都の夜を味わえるのは旅行者にとってプラスでもあるでしょう。