日にち 2月3日
場所 興福寺東金堂
興福寺追儺会は、奈良時代に始まった歴史ある節分の行事。節分らしく、鬼が出てきたり豆まきがあったりもしますが、その前に法要もあって、節分の本来の形がかいま見られる伝統行事です。
追儺会の会場は、有名な五重塔のとなりに建つ、国宝・東金堂。夜の6時半になると、まずは厳かな法要が始まります。本尊の薬師如来に罪を懺悔して、無病息災などを祈る法要です。もともとは、これが節分の行事だったのでは、という気がします。東金堂の中には入れませんが、扉が開いていて遠くから見られます。
法要が終わると、次は鬼追い式。東金堂前の「舞台」に、赤鬼・青鬼・黒鬼と子鬼3匹の計6匹が出てきて暴れまわります。そこへ毘沙門天がやってきて鬼を退治するという、各地の追儺会と同じストーリー展開です。ただ、6匹の鬼たちの演技がなかなかコミカルなほか、演技を説明するアナウンサーもなかなかユーモラスで、笑いの絶えない「劇」にしあがっています。
鬼追い式の次は、節分のメインイベント、豆まきが始まります。鬼追い式以上にどこの寺社でもやる行事です。「舞台」の上に年男・年女が並んで、豆の入った袋をまきます。この「豆袋」は豆が入っているだけではなくて、福引券が入っていることもあって、家電などかなり豪華な景品が当たるようです。それだけに、豆まきのときの熱気は最高潮。参加するなら、ケガには十分注意してください。
興福寺の追儺会は、奈良時代から始まった歴史の深い行事ですが、江戸時代にいったん途切れて、戦後に再開されたようです。厳かな法要・コミカルな鬼追い式・白熱の豆まきと、三者三様の行事が並びますが、それがかえって節分の行事の歴史を見るようで興味深いイベントです。