日にち 3月13日
場所 春日大社
春日祭は、春日大社のメインのお祭り。比較的小規模だし、見られる儀式も少ないですが、古式ゆかしい勅使の行列や参道での神事を見るだけでも、「古都の祭りを見た」という気分になれます。
お祭りそのものは、短時間だしシンプル。二の鳥居に向かって左奥のほうにある斎館(さいかん)から、古式ゆかしい装束を着た人たちや白馬がゾロゾロと歩いてきます。天皇の使いである勅使の行列です。人によって、木ぐつをはいていたり、烏帽子をかぶっていたり、笏(しゃく)を持っていたりして、王朝絵巻といった感じ。参道に着くと、鋭角にクルッと曲がって二の鳥居のほうへ進んでいきます。
二の鳥居をくぐると、左手の祓戸神社と着到殿でそれぞれ儀式をやって、回廊内に入っていきます。一般の人が見られるのは、残念ながらここまで。この後、回廊内の建物でいろいろと重要な神事が行われます。朝に始まって昼には終わる、春日大社の例大祭のわりにはずいぶんあっさりしたお祭りです。
春日大社のお祭りというと、有名なのは何といっても春日若宮おん祭。何日間にもわたって行事が続くし、町中をパレードしたり出店がいっぱい出たりして盛り上がる、奈良でも最大規模のお祭りです。でも、これは境内にある若宮神社のお祭りで、春日大社本体のお祭りではありません。「本家」のお祭りが、境内の小さな神社のお祭りよりずっと小ぢんまりしている、というのがユニークですね。
ただ、歴史も深いし意味合いも重いお祭りです。始まったのは平安時代のはじめごろと古く、藤原氏の繁栄といっしょに規模も拡大していったとか。その後いったん衰退したりしますが、明治に入って、勅使が派遣される「勅祭」になりました。勅祭の中でも、特に古式にのっとった「三勅祭」の1つだとか。
それほど有名ではないので人もそんなに多くないですし、深い歴史や貴重さに思いをはせながら、歴史絵巻のムードにひたれるのが魅力のお祭りです。